横浜から保育士を元気にしたい「横浜勇気づけ保育士の会」参加レポート

保育士や子どもに関わる人と出会い、学び、つながり、多様な価値観、保育観を感じることができる場を紹介します。今回紹介するのは「横浜勇気づけ保育士の会」。それではレポートをどうぞ!

横浜勇気づけ保育士の会って?

横浜市の保育園で園長をつとめる松山由美子さん、アメリカで幼児教育を学び、現在は横浜市で森のようちえんの活動をしている阿部洋子さん、鎌倉市の待機児童を預かる幼児教室で働く井上エリさんの3人が企画し開催しています。

3人は保育者であり、子育て中の母であり、アドラー心理学をともに学ぶ仲間として意気投合。アドラー心理学の勇気づけをベースに、保育士がいきいきと働ける仕組みをつくりたいと「横浜勇気づけ保育士の会」の活動をはじめました。

アドラー心理学とは

1920年、世界で初めて児童相談所を開設した精神科医、アルフレッド・アドラーが構築した心理学。「目的論」を前提として、「全体論」「認知論」「対人関係論」「自己決定性」「ライフスタイル」という6つの原則から成りたつ。幸せになるために、自分や他者を「勇気づける」ことの大切さを説いている。

 

 

目の前の子どもに向き合えるように

「保育園は、限られた人数のスタッフと子どもたちで、年間長い時間をともにします。いわゆる『狭い世界』です。その結果、逃げ場がなく、人間関係がちょっとこじれると働きづらくなる環境にあります」

職場や自宅ではない、第3の居場所を見つけることが保育士に必要だと松山さんは言います。

「自分とは違う価値観、保育観の人がいて、それを認める勇気。『みんな違って、みんないい』って思える場にをしたいと思っています。その結果、人間関係で悩む時間が少なくなり、目の前の子どもと向き合う効果的な時間がつくれると考えています」

 

横浜市で認可保育園の園長として働く松山由美子さん。モンテッソーリ0~3才資格、キッズアンガーマネージメントの資格を持ち、母と子のベビーマッサージやコミュニケーション研修を主催するなど、多彩な活動を行っている

 

学び合いの大切さ

2回目の開催となった今回は、子育て中のママや、幼稚園の先生など、スタッフを含め6名が参加。テーマは「乳幼児の発達を知り、言葉かけを考える」でした。

まずは、発達心理学のクイズシートが配られました。◯×で解答していく問題です。発達心理学は、子どもに寄り添うために、心身の成長過程を理解し、「知る」ことで日々の保育の場面や子育てで、適切な対応をとることに役立つとされています。

このシートをもとに、みんなで一緒に一問ずつ読み解いていきます。ひとつの問いに対して、参加者からは職場や子育て中の具体的なエピソードが次々に語られ、対話が深みを増していきます。そして、ひとつのエピソードを紐解きながら、場面に応じた勇気づけの言葉かけや援助の工夫を学び合いました。

「現場で働いていると、目先のことに追われてしまい、時間をとって学ぶことが、なかなか難しい。ましてや、家でひとりでテキストを開いて勉強するのはハードルが高いですよね。こういう場で仲間とワイワイと楽しみながら学ぶことで、発達心理学って面白い!改めて学んでみよう!という意欲が湧いてくれたら嬉しいですね」

松山さんは、このクイズ形式の問題や学び合いの目的を教えてくれました。

苦渋の表情を浮かべながら、クイズシートに向き合う参加者の姿も(笑)

 

保育士×「勇気づけ」の可能性

主催者の井上さんは、現在4歳になる娘さんのママ。保育士経験から、子育てには自信を持っていたと言います。ですが、娘さんがイヤイヤ期を迎えた2歳のとき、子育てがとても辛く、育児スランプに陥ってしまったそう。イライラして子どもを叱ってしまい、自分を責めることの繰り返し。

そんな悪循環の日々を救ったのが、アドラー心理学の「勇気づけ」でした。勇気づけを日常生活で実践し、井上さん本人が変化する中で、娘さんもビックリするくらい変わっていったと言います。

鎌倉で保育士として働きながら、勇気づけの子育ての普及に向け活動を行う井上エリさん。ヒューマンギルド社認定、ELM勇気づけトレーナー、SMILEリーダーの資格を取得し、湘南・横浜エリアを中心に講座を主催している

 

同じく主催者の阿部さんも、現在小学5年生の息子さんを育てています。息子さんが小学1年生のときに、勇気づけを学び、子育てにとりいれたことで、より子育てが豊かになったそう。息子さんとは勇気づけでとってもいい関係なんだとか。

この実体験から、同じように子育てで悩んでいるママやパパへ、勇気づけを伝える活動をしてきましたが、今度は仲間の保育士に届くようにと活動の幅を広げて、この場をつくりはじめました。

「“勇気づけ”は、子どもの可能性を信じ、ありのままを認めことで、自己肯定感を高めることに繋がります。とはいえ、子どもに“勇気づけ”をするためには、保育士に心の余裕がないと難しいです」

「この学び合いの場で、保育士自身がたくさんの勇気づけのシャワーを浴びて、職場に帰ったら、今度は子どもたちにたくさん勇気づけのシャワーを降り注いでもらいたいです」

と阿部さんは想いを語ってくれました。

阿部洋子さん。アメリカで幼児教育のライセンスを修得。現地のプレスクール、帰国後にはインターナショナルスクールで計17年働いた。現在は勇気づけコミュニケーション講座や潜在意識に関するSHINE講座、勇気づけ子育ての講演など開催しながら、勇気づけ森のようちえんエルムの園長として活動している
阿部洋子さん。アメリカで幼児教育のライセンスを修得。現地のプレスクール、帰国後にはインターナショナルスクールで計17年働いた。現在は勇気づけコミュニケーション講座や潜在意識に関するSHINE講座、勇気づけ子育ての講演など開催しながら、勇気づけ森のようちえんエルムの園長として活動している

 

次回開催のお知らせ

「勇気づけ」のアプローチに興味を持った方や、アドラー心理学って聞くけど…ちょっと聞いてみたい方、保育士同士のつながりを持ちたい方など、一度参加してみてはいかがでしょうか。堅苦しい場ではないので、ちょっと一息つきがてらに足を運んでみては。子育て中のママやパパ、横浜市の保育士さんでなくても大歓迎とのことです。

次回、3回目の講座は特別企画

ゲスト講師に熊野英一氏を迎えての開催。子どもを勇気づけるためには、まずは自分を知ることから。ライフスタイル診断で自分の認知パターンを知り、アドラー流ほめない・叱らないで勇気づける関わり方を、2時間たっぷり学び合います。熊野さんは「横浜勇気づけ保育士の会」の活動を知り、応援してくださっている方のひとりで、このコラボ企画が実現。勇気づけの輪が広がっています。

日時

2017年7月29日(土) 10:00 ~ 12:00

会場

横浜セネックス C会議室
神奈川県横浜市神奈川区西神奈川1-6-1 サクラピアビル4F
JR京浜東北線「東神奈川」駅より徒歩1分
京浜急行「仲木戸」駅より徒歩3分
東急東横線「東白楽」駅より徒歩5分

会費

3000円

定員

30名

講座内容

  • 自分を知るライフスタイル診断
  • アドラー流ほめない・叱らないで勇気づける関わり方
  • 職場での人間関係の悩みを解決するヒントも満載


講師

熊野英一先生
保育サービスの株式会社コティに統括部長として入社。約60の保育施設立ち上げ・運営、ベビーシッター事業に従事。2007年、株式会社子育て支援を創業、代表取締役に就任。2012年、ペアレンティング・サロン「bon voyage有栖川」オープン。アドラー心理学に基づく親子コミュニケーション講座等を開講している。日本アドラー心理学会 正会員。

お申し込み方法

お名前、連絡先を明記の上、下記のアドレスにお申し込み下さい。
※講座終了後、希望者でランチ懇親会を予定しています。
hoikuencourage@gmail.com

 

「横浜勇気づけ保育士の会」
Facebookページ:https://www.facebook.com/aurorajourney/
松山さんのブログ:https://ameblo.jp/cocoaroll25/
阿部さんのブログ:http://ameblo.jp/mori-no-youchien/
井上さんのブログ:https://ameblo.jp/jikojyuyou/


(2017年6月14日公開 取材・写真:柴山和代)